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【3時間で完結】業務棚卸しのやり方|少人数チームのためのワークショップ設計図

【3時間で完結】業務棚卸しのやり方|少人数チームのためのワークショップ設計図

公開日: 2025年11月28日
更新日: 2025年11月28日

少人数チームや個人事業主に向けて、3時間で完結する「業務棚卸しのやり方」を解説。付箋やホワイトボードを使ったワークショップ形式で、属人化した業務を見える化し、自動化や効率化につなげるための具体的な手順とファシリテーションのコツを紹介します。

【3時間で完結】業務棚卸しのやり方|少人数チームのためのワークショップ設計図

「みんな忙しそうだけど、具体的に誰が何を持っているのか分からない」
「マニュアルを作ろうと言いつつ、半年が過ぎてしまった」
「業務の引き継ぎをしたいが、何を引き継げばいいかが整理されていない」

もしあなたのチームがこのような状態なら、必要なのは新しいツールの導入でも、気合いの入れ直しでもありません。 一度立ち止まって、「業務棚卸し」を行うことです。

しかし、「業務棚卸し」と聞くと、エクセルで何百行ものリストを作ったり、数日がかりの会議をしたりと、重たい作業をイメージするかもしれません。2〜5人の少人数チームにとって、そのような重厚な手法は続きませんし、なにより日常業務が回りません。

ヨハク技研では、小さなチームのために「3時間で完結する業務棚卸しワークショップ」を推奨しています。

この記事では、実際に私たちがクライアントの現場で行っている「業務棚卸しのやり方」の設計図を公開します。難しいIT用語は使いません。付箋とホワイトボード(またはデジタルツール)があれば、今すぐ実践できる内容です。

また少人数チームの業務フロー全体の見える化については、少人数チームの「誰が何をやっているか分からない」を解消する業務フロー設計図 で全体像を整理しています。

チームの頭の中を静かにし、余白を取り戻すための3時間を確保してみませんか?

この記事で目指すゴール

本記事では、次の3点をゴールにしています。


  • 3時間で回せる「業務棚卸しワークショップ」の型を手に入れる
  • 付箋とシートを使って、属人化した業務を一覧化できるようになる
  • 棚卸しの結果を使って、改善・自動化の候補を見つけられるようになる

「業務棚卸しのやり方」を一度型にしてしまえば、メンバーが増えたときや部署が変わったときにも、同じ 3 時間を繰り返すだけで現状をアップデートできます。

この3時間の業務棚卸しワークショップは、少人数チームの「誰が何をやっているか分からない」を解消するための入口です。

棚卸しの結果をもとに業務フロー全体を整えるプロセスは、少人数チームの「誰が何をやっているか分からない」を解消する業務フロー設計図 や、コンテンツビジネス全体を対象にした コンテンツビジネスの業務フロー設計図:4〜6週間で「カオス」を「資産」に変える完全ガイド で詳しく解説しています。

なぜ少人数チームの「業務棚卸し」は失敗しやすいのか

多くのチームが業務棚卸しに挑戦しては挫折します。

その原因の多くは、「やり方」が間違っているのではなく、「スコープ(範囲)」と「ゴール」の設定ミスにあります。特に少人数チームならではの落とし穴について解説します。

このセクションでわかること

「完璧を目指しすぎる」「阿吽の呼吸に頼りすぎる」といった失敗パターンを挙げ、なぜ今回の「3時間ワークショップ形式」が有効なのか、その背景にある考え方を共有します。

完璧なマニュアルを作ろうとして挫折する

「業務棚卸し=マニュアル作成」と考えてしまうと、ハードルが一気に上がります。
詳細な手順まで書き出そうとすると、1つの業務だけで数時間かかってしまうからです。

今回のワークショップのゴールは、マニュアル作成ではありません。「どんな業務が存在しているか(What)」のリストアップに集中することです。中身(How)を書くのは、リストができてからで十分です。

少人数チーム特有の「阿吽の呼吸」がリスクになる

「言わなくても分かるだろう」「いつもAさんがやってくれている」という信頼関係は素晴らしいですが、業務フローにおいては最大のリスク(ブラックボックス)になります。

少人数チームにおける業務棚卸しで重要なのは、この「暗黙知」を「形式知」に変えることです。「Aさんがいないと分からない」を「リストを見れば誰が担当か分かる」状態にするだけで、チームの心理的安全性は大きく向上します。

3時間で完結させる「業務棚卸しワークショップ」のやり方と準備

ダラダラと会議をしても成果は出ません。
時間を区切り、ゲーム感覚で進める「ワークショップ形式」を採用しましょう。

ここでは、ファシリテーター(進行役)となるあなたが準備すべきことと、当日のタイムラインを紹介します。

このセクションでわかること

3時間のタイムライン詳細、アナログ(付箋)とデジタル(Miro等)の使い分け、そして参加者の心理的安全性を守るための「グランドルール」について解説します。

3時間のタイムライン設計図

業務棚卸しワークショップは、以下の構成で進めます。集中力が続く限界が90分×2セット(休憩込み3時間)です。

< 図解案: 3時間の業務棚卸しワークショップの進行タイムライン >


  1. 導入(15分)
    ゴール共有とグランドルール説明
  2. Step1 個人ワーク(45分)
    自分の業務を付箋に書き出す(質より量)
  3. 休憩(15分)
    脳を休める
  4. Step2 グルーピング(60分)
    全員の付箋を貼り出し、分類・整理する
  5. Step3 シート化(45分)
    決定した項目をスプレッドシート等に転記する

用意するもの:アナログ(付箋)かデジタル(Miro)か

  • 対面で集まれる場合
    • 付箋(75mm×75mm)
      1人1ブロック。色は人数分変えるとベスト。
    • サインペン
      細いボールペンはNG。太い文字で書かせるため。
    • 模造紙またはホワイトボード
      付箋を貼る広大なスペース。
  • リモートの場合
    • Miro / FigJam
      オンラインホワイトボードツール。付箋機能を使います。

ヨハク技研としては、熱量とスピード感が共有しやすい「対面+アナログ付箋」を強くおすすめします。物理的に付箋を動かす行為が、脳の整理を助けるからです。

最も重要なグランドルール:「業務を責めず、仕組みを見る」

今回紹介する業務棚卸しのやり方の中で最も重要なのが、場の空気作りです。以下のルールを最初に宣言してください。


  • 「そんな無駄なことやってたの?」と言わない。
  • 「細かいことは気にしない」で書き出す。
  • 人(Who)ではなく、コト(What)に集中する。

目的は「犯人探し」ではなく「現状把握」です。
これを徹底しないと、メンバーは防衛的になり、本当の課題を隠してしまいます。

【実践ステップ】業務棚卸しの具体的な進め方とファシリテーション

準備ができたら、いよいよ実践です。

ここでは、各ステップにおける具体的な進め方と、ファシリテーターが意識すべきポイントを解説します。ここからが、少人数チーム向けの業務棚卸しのやり方の核心部分です。

このセクションでわかること

「書き出し(発散)」→「グルーピング(構造化)」→「シート化(記録)」の3ステップの詳細な手順と、メンバーの手が止まったときの声かけのコツを紹介します。

Step1:個人ワーク「質より量」で書き出す(45分)

まずは黙々と自分の業務を付箋に書き出します。


  • 書き方のルール
    「動詞」で終わるように書く(例:〇〇を確認する、〇〇を作成する)。
  • 粒度
    「所要時間15分以上」の業務を目安にする。
    「メール返信」のような細かすぎるものは「メール対応」としてまとめる。

Step2:グルーピング「業務の構造」を見える化する(60分)

全員の付箋をホワイトボードに貼り出し、似た業務を近づけてグループを作ります。


  1. 時系列で並べる
    日次、週次、月次、年次などの軸で並べる。
  2. 機能で分ける
    「制作」「広報」「経理」などのカテゴリで分ける。
  3. 重複を見つける
    「これ、私もやってます」「ここは被ってますね」という発見を歓迎する。

このプロセスこそが、業務棚卸しのハイライトです。チーム全員で全体像を俯瞰することで、「あ、ここがボトルネックだ」と自然に気づくことができます。


💡 ファシリテーションのコツ

「思い出せないときは、先週の自分のカレンダーや、送信済みメールを見返してみてください」と声をかけましょう。記憶ではなく「記録」を辿るのがコツです。

Step3:シート化「誰が・どれくらい」を追記する(45分)

グルーピングが落ち着いたら、その結果を「業務棚卸しシート(Excel / スプレッドシート)」に転記します。ワークショップ内ですべて転記するのは時間が足りない場合、「カテゴリ」と「業務名」の枠組みを作るまでをゴールにしても構いません。

業務カテゴリの例としては

  • コンテンツ制作
  • ニュースレター運用
  • スポンサー対応・請求
  • バックオフィス

といったまとまりがよく出てきます。

たとえば請求まわりの業務は、「1 行 = 1 件の請求」として管理するスプレッドシートに落としておくと、抜け漏れをかなり減らせます。具体的な設計例は エクセル請求書管理表の正しい作り方|小さなチームの「抜け漏れ」を防ぐテンプレート構成案 にまとめています。

また、コンテンツ制作チームであれば

  • 企画
  • 執筆
  • レビュー
  • 公開
  • SNS 告知

といったカテゴリに分けておくと、このあとカンバンボードに載せ替えやすくなります。

実際のボード構成や週次のまわし方まで見てみたい場合は、コンテンツ制作ワークフローの作り方|小さなチームが「カオス」を脱して余白をつくる手順書 もあわせて読んでみてください。

< 図解案: 「業務棚卸しシート」のサンプルレイアウト(列:カテゴリ / 業務名 / 頻度 / 所要時間 / 担当 / 使用ツール / コメント) >

棚卸ししたタスクを「資産」に変える分析と整理のやり方

リストアップされた業務は、まだ「素材」の状態です。これを「資産(改善の種)」に変えるために、整理・分析を行います。ここではECRS(イクルス)の原則を使った視点を紹介します。

このセクションでわかること

棚卸しした業務リストを前に、何をどう改善すればいいのか。ECRSのフレームワークを使って「やめる・減らす・自動化する」業務を見極める方法を解説します。

ECRSの視点で「やめる業務」と「自動化する業務」を見つける

業務棚卸しシートを見ながら、以下の順で問いかけてみてください。


  1. Eliminate(排除): やめられないか?
    • 「これ、慣習でやってるけど誰も見てなくない?」
  2. Combine(結合): 一緒にできないか?
    • 「A会議とB会議、メンバー同じだし一緒にやらない?」
  3. Rearrange(交換): 順序や担当を変えられないか?
    • 「これ、リーダーじゃなくてアシスタントでもできる手順にできない?」
  4. Simplify(簡素化): もっと単純にできないか?
    • 「毎回手入力してるけど、自動化できない?」

特に「Simplify(簡素化)」の視点は、のちの業務自動化に直結します。
「定型的で、判断が不要で、繰り返される業務」は、人間がやるべき仕事ではありません。

業務棚卸しから始まる「自動化」とチームの余白

業務棚卸しはゴールではありません。現状把握というスタートラインに立っただけです。

ここからどうやって「余白」を作っていくかが本番です。

このセクションでわかること

棚卸しによって見えた「自動化できる業務」をどう扱うか。ヨハク技研が提供する、棚卸し後の具体的な改善アクションについて案内します。

棚卸しはゴールではなく「余白作り」のスタートライン

棚卸しによって「無駄な業務」や「自動化できそうな業務」が見えてきたはずです。しかし、それを実際に改善し、自動化ツール(n8nやMakeなど)を導入するには、また別の専門知識が必要です。

多くのチームがここで止まってしまい、「リストは作ったけど何も変わらなかった」という状態に戻ってしまいます。それは非常にもったいないことです。

3時間の業務棚卸しで「現状の全体像」が見えたら、あとは優先順位を決めて 4〜6週間で少しずつ業務フローを整えていきます。

この具体的な進め方や、自動化まで含めたロードマップは コンテンツビジネスの業務フロー設計図:4〜6週間で「カオス」を「資産」に変える完全ガイド で詳しく紹介しています。

無料相談(Tech & Chill Lab)のご案内

もしあなたが

「業務棚卸しワークショップを自分たちだけで回すのが不安」
「棚卸しはできたけど、そこからどう自動化すればいいか分からない」

と感じているなら、一度ヨハク技研の業務フロー健康診断(無料相談)をご利用ください。

私たちは、あなたのチームの業務棚卸し(ワークショップ設計)から、その後の業務フロー再構築・自動化の実装までをワンストップで伴走します。


  • ワークショップのファシリテーション支援
  • 棚卸し結果に基づいた「自動化ロードマップ」の作成
  • 4〜6週間での業務フロー改善パッケージの提供

これらを、あなたのチームの規模感に合わせてご提案します。

よくある質問(FAQ)

Q. 業務棚卸しはどのくらいの頻度でやるべきですか?

A. 半年に1回、または新メンバー加入時の実施がおすすめです。

業務は生き物のように変化します。一度やって終わりではなく、定期的なメンテナンスとして実施することで、常にフローが最適化された状態を保てます。

Q. メンバーが忙しくて3時間も取れません。どうすればいいですか?

A.「忙しいからこそやる」という合意形成が重要です。

この3時間を投資することで、将来的に数十時間の余白が生まれることを説明しましょう。また、どうしても時間が取れない場合は、1.5時間×2回に分けて実施するのも一つの手です。

Q. デジタルツール(Miroなど)とアナログ(付箋)、どっちが良いですか?

A. 対面で集まれるなら「アナログ」が圧倒的におすすめです。

物理的に付箋を動かし、ホワイトボードを囲んで話すことで、チームの一体感と熱量が高まります。完全リモートの場合はMiroやFigJamなどのオンラインホワイトボードを活用しましょう。

まとめ:業務棚卸しは「チームの記憶」を記録に変える作業

業務棚卸しは、面倒な事務作業ではありません。それは、チームの中に眠っている「暗黙知」を資産に変える、クリエイティブな活動です。


  1. 3時間の枠を確保し、グランドルールを決める。
  2. 付箋を使って、個人ワークとグルーピングを行う。
  3. ECRS(イクルス)の原則に基づいて、やめる業務と自動化する業務を見つける。

まずは次の金曜日の午後、会議室を予約して、付箋を買ってくるところから始めてみてください。 その3時間が、あなたのチームに「静けさ」と「余白」を取り戻す第一歩になります。

業務棚卸しのやり方をワークショップとして型にしておくことで、“覚えておくための時間”ではなく“つくる時間”に余白を使えるようになります。


もし

「自力での実施に自信がない」
「棚卸しの先にある自動化まで進めたい」

と思ったら、いつでもContactページからヨハク技研にお声がけください。

→ ヨハク技研のスタジオページを見てみる

小さなチームの業務フローを一緒に整えませんか?

Tech & Chill Lab では、小さなメディアやコンテンツビジネス向けに、業務フローの棚卸しや、自動化フローの設計・実装をお手伝いしています。

「うちのフローだと何ができそうか」など、ライトな相談からでも大丈夫です。

著者 ヨハク技研

Author

ヨハク技研

「つくる以外の時間はもっと減らせる。」をテーマに、小さなチームや個人のための業務フロー設計・自動化・開発環境づくりをしています。Tech & Chill Lab では、スモールビジネスの裏側から個人開発、生活の仕組みづくりまで、「つくる時間を守るための設計図」を静かに共有しています。

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